2016年08月09日
山の日はトレジャーハンティング
「山の日」
「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」
という名目のもと、とりあえず祝日のない8月に祝日をつくってしまおう!という裏理由についても、実は国民みんなの暗黙の了解。とはいえ、とりあえず休みが増えるのは嬉しいし、アウトドア好きとしてはなんとなく自分の日って感じがする親しみやすい日です。
さて、何しようかと海の日あたりから考え始めたわけですが・・・思いつきません。
実はその週は帰省で我が郷土である水俣に行っている予定です。
川で泳いで魚でもつかまえる?・・・別に悪くは無いですが、毎年やっている普通の夏休みです。
登山?・・・山の日だから登山っていうのもなんだか芸がない。というか訳あって帰省中に今年は登山は無理。
せっかく新しい祝日です。新しい山遊びを始めてみたい。
子供たちとできる新しい山遊び・・・なにかないかなぁ・・・
そんなある日、長男のソルが言いました。
「砂金が採りたい」
エッ砂金?
もともと彼は石が大好きです。
小さな頃から公園で石を拾ってはポケットに入れて持って帰ってきます。
こっそり捨てるのは私の日課。いずれやめるだろう・・・しかし、彼の石好きはやみません。
8月1日の8歳の誕生日を前にして
「何か欲しいものある?」(WiiUのゲームかなぁ)
と尋ねると、
「原石!」(えっ・・・)
宝石の様に輝くひとみでそう答えました。
(本物だ・・・)
そんな彼からの斬新な提案
「砂金採り」
つまりはゴールドマイニングであり、トレジャーハンティング・・・ほほぉ~響きは悪くありません。
「その宝は求めるものに与えられる」
どこかで聞いたことあるセリフが頭をよぎります。
とはいえ、知識が皆無。
「うーん、パパ考えとくね」
まずは時間的猶予をもらいます。
そして調査開始。
まずは場所です。金が取れる場所。そんな場所が実家の近くにあったか?
ありました!しかも結構選択肢豊富です。串木野、菱刈金山、鯛生金山・・・その中でも特に気になったのは永野金山。鹿児島空港ほど近くの山中。かつては佐渡を凌ぐ産出量で、あまりの産出量に江戸幕府が一時産出を禁じた程だと。今は閉山されていますが、研究者やマニアの方々の採取ブログがちらほら散見されます。
よし、ここだ。
そうと決まれば道具です。なんかあの川の中で砂から金を選別するときの皿・・・パンニング皿というらしい。

残念ながらナチュラムさんにはありません(これをご覧のナチュラムさん、まだまだ取り扱い品足りてませんよ!)。あおい商店なるところでポチりました。その道では有名な店らしく、使い方の動画も豊富です。実家に直送しておいて、おじいちゃん達からソルへの誕生日プレゼントとしておきましょう。プレゼントをさがしておいてくれと言われていましたし。
さらに、調査をすすめます。取れないことも十分に考えられるので、川の中から綺麗な石を拾うレジャーを付け加えましょう。そもそもソルが好きなのは石そのものです。石ころ採集のハウツー本をゲットします。そもそもそんなものがこの世に普通に売られていることを初めて知りました。ソルに見せると、目を輝かせながら水晶も探すとはしゃいでます。さすがに水晶の様な透明度の高いものは難しいかもしれませんが、石英(白いクオーツ)であれば場所さえ間違わなければ普通に見つかるようです。
準備は整いました。
・・・
末広がりの八月八日
山の日には少し早いですがパンニング皿を手にしたソルを止められず、おじいちゃん(私の父)と共に永野金山方面へ実家を出発。トレジャーハンティング開幕です。
実家から車で1時間半程。目的の山中に到着。農道の脇に車をとめ、とりあえずお昼になったのでお弁当を食べながらGoogleMapを眺めます。子供達と川辺に降りることができ、金鉱跡から砂金が流れ出しそうな所・・・4箇所ほどピックアップ。

お爺ちゃんに車の運転を頼みながら、iPadを片手にチェックした場所へ誘導します。
一ヶ所目
川が思った以上に道路から落ち込んでいて、下ることができません。
二カ所目
同じくエントリーできない。断念。
三カ所目
降りることはできます。が、川の状況がイマイチ。少し深そうなところがあり、安全第一に考えて断念。
再度GoogleMapを眺めます。
望みのありそうな場所を見つけて車で直行。
うん、降りることができます。かなり上流にきたので、水量もほどほどです。川幅はせまく、深いところもないので安全面でもOK。
さあ、開始です。

お爺ちゃんと私で川底の砂利を掘り、ソルがパンニングします。ルナは水遊びしながら、ちょいちょい邪魔する役。事前の調査では砂利を掘るポイントは以下の通り。
深く底がえぐれて砂利が体積している所
大きな石の下
草の根もと
まずは水路になっている脇の少しえぐれて、砂利が堆積しているところを掘ります。

堆積している砂利は茶色い石ばかり。なんかちょっとちがうかなぁ。
しかし、まずはパンニングが上手くならないといけないので少し続けることにします。ソル、お爺ちゃん、私とパンニングを繰り返します。
段々とコツがわかってきました。少しずつ水を皿に引き込みながら右回転で回していくと、軽い石がコロコロとサラからこぼれ落ちていきます。
少しづつ慎重に皿をまわして石を落としていくと、段々と黒い砂が残ります。砂鉄です。比重が高い砂鉄が皿に残ると上手くパンニングできている証拠らしい。その真っ黒い砂鉄の中に山吹色に輝く粒が・・・在りません。
そ~簡単にね。あったらもっと大賑わいです。しかし、ここまでに出会った人はお墓参りしてた一家族のみ。
静かな山村。既に全身ズブ濡れのルナ。

ある意味一番楽しそう。
うーん、出ませんね。
草の根もまるごとスコップで掘り起こして、根本に絡みついた土をやってみましたが、大量に砂鉄が残るものの目的のブツは見当たりません。難しいからこそトレジャーハンティング。一旦休憩。そして再考。少し上流側に来すぎているのかもしれません。あまりに水流が少ないので鉱石を掘り出す程の水の力が無いのかも。ならば場所を移動しよう。再度GoogleMapを開きます。もう少し下流側で、同じく道路と接近してエントリーできそうなポイントを探します。
下流におよそ1キロ下った近辺によさ気な地形を発見。そうと決まれば移動です。
移動の為に荷物をまとめて車に乗り込むとルナが「おしっこ!」
そうだよね。あれだけつめたい川の水に濡れて、体が冷えたらしたくなるよね。が、このトイレタイムがちょっとした奇跡を産みます。
トイレを借りれそうな施設を地図から探してみると、郵便局を見つけました。きっと平日だから開いてるよね。
郵便局の前に車を止めて、ママと子供たちで郵便局の中へ。
・・・帰ってきません。おいおい、なんかトイレであったか???
まあ、どうせおしゃべり好きソルの事です。いつものように郵便局の人に話しかけてるのかもしれません。
お爺ちゃんと二人で地図をみながらエントリーポイントを絞ります。
そこへ・・・
「もらった!」
えっなに?元気に子供たちが車に帰ってきました。
「金鉱石もらった!」
はい?どういうこと?
手には白っぽい石が握られています。
ママが事情を説明してくれました。どうやらソルは郵便局に入るなり「砂金採りに来たんだ!」と元気に宣言。郵便局内は珍客を歓迎。近くの金山関係の史跡のパンフレットをもらったり、結構深く掘らないといけないらしいというアドバイスをもらったり。そして最後に「これをあげる」とカウンターにかざってあった金鉱石を頂いたようです。ちかくの鉱山(菱刈鉱山かな?)で金の含有量があまりなく処理されなかった石ですが、少量入っているとのこと。

この子の本当の宝はこの自分自身の発信力。それに自分自身が気づくのはもう少し先かな。
「その宝は求めるものに与えられる」
郵便局の力強いバックアップを得て、テンションを上げながら次の場所に向かいます。
到着。川幅は5m程。2m程少し急な土手を下ればエントリー可能。道具をおろして、次に子供たちをおろします。
セカンドラウンド開始。

アドバイスどおり少し深い穴を掘って砂利をさらいます。
それをザルを敷いたバケツに入れて、大きな石を取り除きます。

その大きな石は捨てる前に綺麗な石を探します。すると緑がかった石、紫色の石、赤い石。様々な色の石が見つかります。よく見ると色んな石が見つかるんですね。だんだんそれだけでも楽しくなってきました。おっと、ちょっと大きい石英発見。

磨くと光りそうです。
綺麗な石を選別して岩の上に並べて乾かします。オー結構綺麗じゃん。こうやって自分たちで採ると立派な宝石。

さあ、後は本命のみ!お爺ちゃんと二人で大きな岩を動かします。既に70を超えたとはいえ、かつてはカヌーのオリンピック候補。未だそのパワーは健在。

動かした岩の底の砂利を選別、パンニング。

選別、パンニング・・・。

何度か輝く砂を見つけましたが、砂金という感じではありません。残念ながらタイムアップ。
やはりトレジャーハンティングはそんなに簡単ではありませんでした。
しかし、手元には美しい河原の石と金鉱石。十分な収穫です。子供たちも満足そう。
「また来ようね。」
リベンジを誓って美しい金山を後にしました。
「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」
目的は十分に達成した。
そう思っていました。
家に帰るとおばあちゃん(私の母)に子供たちが今日の収穫を披露します。

「ほら見て見て、石の隙間に宝石があるよ!」ルーペで石を眺めていたソルが叫びます。確かに、石の小さな隙間にもっと小さな石英の赤ちゃんが見えます。「よかったね」と声をかけたその時、
「あっ思い出した」
とおばあちゃんが言いました。そのまま部屋の奥ををゴソゴソ。戻ってくると手には小さなペンダント。そのペンダントヘッドには・・・
「砂金だ!」

30年ほど前に何処かの金山の砂金採り体験で見つけたそうです。2ミリ程の粒が10個ほど。いくら砂金採り体験とはいえ、短時間にこんなに取れることはないそうで、施設のおじさんもびっくりされたそうです。ずっと昔の事なのでどこに置いていたか忘れていたところ、孫の話を聞くうちに思い出したようです。
「ソルにあげるよ。」
大喜びのソル。
とうとう砂金を掘り当てました。
金脈は我が実家にありました。
山間の静かな郵便局員さん達の優しさと、お祖母ちゃんの愛に助けられ、我が家は少しだけお金持ちになりました。
立派なトレジャーハンティングな1日。
「その宝は求めるものに与えられる」
そう、その宝は確かに求めたものに与えられるのです。
「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」
という名目のもと、とりあえず祝日のない8月に祝日をつくってしまおう!という裏理由についても、実は国民みんなの暗黙の了解。とはいえ、とりあえず休みが増えるのは嬉しいし、アウトドア好きとしてはなんとなく自分の日って感じがする親しみやすい日です。
さて、何しようかと海の日あたりから考え始めたわけですが・・・思いつきません。
実はその週は帰省で我が郷土である水俣に行っている予定です。
川で泳いで魚でもつかまえる?・・・別に悪くは無いですが、毎年やっている普通の夏休みです。
登山?・・・山の日だから登山っていうのもなんだか芸がない。というか訳あって帰省中に今年は登山は無理。
せっかく新しい祝日です。新しい山遊びを始めてみたい。
子供たちとできる新しい山遊び・・・なにかないかなぁ・・・
そんなある日、長男のソルが言いました。
「砂金が採りたい」
エッ砂金?
もともと彼は石が大好きです。
小さな頃から公園で石を拾ってはポケットに入れて持って帰ってきます。
こっそり捨てるのは私の日課。いずれやめるだろう・・・しかし、彼の石好きはやみません。
8月1日の8歳の誕生日を前にして
「何か欲しいものある?」(WiiUのゲームかなぁ)
と尋ねると、
「原石!」(えっ・・・)
宝石の様に輝くひとみでそう答えました。
(本物だ・・・)
そんな彼からの斬新な提案
「砂金採り」
つまりはゴールドマイニングであり、トレジャーハンティング・・・ほほぉ~響きは悪くありません。
「その宝は求めるものに与えられる」
どこかで聞いたことあるセリフが頭をよぎります。
とはいえ、知識が皆無。
「うーん、パパ考えとくね」
まずは時間的猶予をもらいます。
そして調査開始。
まずは場所です。金が取れる場所。そんな場所が実家の近くにあったか?
ありました!しかも結構選択肢豊富です。串木野、菱刈金山、鯛生金山・・・その中でも特に気になったのは永野金山。鹿児島空港ほど近くの山中。かつては佐渡を凌ぐ産出量で、あまりの産出量に江戸幕府が一時産出を禁じた程だと。今は閉山されていますが、研究者やマニアの方々の採取ブログがちらほら散見されます。
よし、ここだ。
そうと決まれば道具です。なんかあの川の中で砂から金を選別するときの皿・・・パンニング皿というらしい。
残念ながらナチュラムさんにはありません(これをご覧のナチュラムさん、まだまだ取り扱い品足りてませんよ!)。あおい商店なるところでポチりました。その道では有名な店らしく、使い方の動画も豊富です。実家に直送しておいて、おじいちゃん達からソルへの誕生日プレゼントとしておきましょう。プレゼントをさがしておいてくれと言われていましたし。
さらに、調査をすすめます。取れないことも十分に考えられるので、川の中から綺麗な石を拾うレジャーを付け加えましょう。そもそもソルが好きなのは石そのものです。石ころ採集のハウツー本をゲットします。そもそもそんなものがこの世に普通に売られていることを初めて知りました。ソルに見せると、目を輝かせながら水晶も探すとはしゃいでます。さすがに水晶の様な透明度の高いものは難しいかもしれませんが、石英(白いクオーツ)であれば場所さえ間違わなければ普通に見つかるようです。
準備は整いました。
・・・
末広がりの八月八日
山の日には少し早いですがパンニング皿を手にしたソルを止められず、おじいちゃん(私の父)と共に永野金山方面へ実家を出発。トレジャーハンティング開幕です。
実家から車で1時間半程。目的の山中に到着。農道の脇に車をとめ、とりあえずお昼になったのでお弁当を食べながらGoogleMapを眺めます。子供達と川辺に降りることができ、金鉱跡から砂金が流れ出しそうな所・・・4箇所ほどピックアップ。
お爺ちゃんに車の運転を頼みながら、iPadを片手にチェックした場所へ誘導します。
一ヶ所目
川が思った以上に道路から落ち込んでいて、下ることができません。
二カ所目
同じくエントリーできない。断念。
三カ所目
降りることはできます。が、川の状況がイマイチ。少し深そうなところがあり、安全第一に考えて断念。
再度GoogleMapを眺めます。
望みのありそうな場所を見つけて車で直行。
うん、降りることができます。かなり上流にきたので、水量もほどほどです。川幅はせまく、深いところもないので安全面でもOK。
さあ、開始です。
お爺ちゃんと私で川底の砂利を掘り、ソルがパンニングします。ルナは水遊びしながら、ちょいちょい邪魔する役。事前の調査では砂利を掘るポイントは以下の通り。
深く底がえぐれて砂利が体積している所
大きな石の下
草の根もと
まずは水路になっている脇の少しえぐれて、砂利が堆積しているところを掘ります。
堆積している砂利は茶色い石ばかり。なんかちょっとちがうかなぁ。
しかし、まずはパンニングが上手くならないといけないので少し続けることにします。ソル、お爺ちゃん、私とパンニングを繰り返します。
段々とコツがわかってきました。少しずつ水を皿に引き込みながら右回転で回していくと、軽い石がコロコロとサラからこぼれ落ちていきます。
少しづつ慎重に皿をまわして石を落としていくと、段々と黒い砂が残ります。砂鉄です。比重が高い砂鉄が皿に残ると上手くパンニングできている証拠らしい。その真っ黒い砂鉄の中に山吹色に輝く粒が・・・在りません。
そ~簡単にね。あったらもっと大賑わいです。しかし、ここまでに出会った人はお墓参りしてた一家族のみ。
静かな山村。既に全身ズブ濡れのルナ。
ある意味一番楽しそう。
うーん、出ませんね。
草の根もまるごとスコップで掘り起こして、根本に絡みついた土をやってみましたが、大量に砂鉄が残るものの目的のブツは見当たりません。難しいからこそトレジャーハンティング。一旦休憩。そして再考。少し上流側に来すぎているのかもしれません。あまりに水流が少ないので鉱石を掘り出す程の水の力が無いのかも。ならば場所を移動しよう。再度GoogleMapを開きます。もう少し下流側で、同じく道路と接近してエントリーできそうなポイントを探します。
下流におよそ1キロ下った近辺によさ気な地形を発見。そうと決まれば移動です。
移動の為に荷物をまとめて車に乗り込むとルナが「おしっこ!」
そうだよね。あれだけつめたい川の水に濡れて、体が冷えたらしたくなるよね。が、このトイレタイムがちょっとした奇跡を産みます。
トイレを借りれそうな施設を地図から探してみると、郵便局を見つけました。きっと平日だから開いてるよね。
郵便局の前に車を止めて、ママと子供たちで郵便局の中へ。
・・・帰ってきません。おいおい、なんかトイレであったか???
まあ、どうせおしゃべり好きソルの事です。いつものように郵便局の人に話しかけてるのかもしれません。
お爺ちゃんと二人で地図をみながらエントリーポイントを絞ります。
そこへ・・・
「もらった!」
えっなに?元気に子供たちが車に帰ってきました。
「金鉱石もらった!」
はい?どういうこと?
手には白っぽい石が握られています。
ママが事情を説明してくれました。どうやらソルは郵便局に入るなり「砂金採りに来たんだ!」と元気に宣言。郵便局内は珍客を歓迎。近くの金山関係の史跡のパンフレットをもらったり、結構深く掘らないといけないらしいというアドバイスをもらったり。そして最後に「これをあげる」とカウンターにかざってあった金鉱石を頂いたようです。ちかくの鉱山(菱刈鉱山かな?)で金の含有量があまりなく処理されなかった石ですが、少量入っているとのこと。
この子の本当の宝はこの自分自身の発信力。それに自分自身が気づくのはもう少し先かな。
「その宝は求めるものに与えられる」
郵便局の力強いバックアップを得て、テンションを上げながら次の場所に向かいます。
到着。川幅は5m程。2m程少し急な土手を下ればエントリー可能。道具をおろして、次に子供たちをおろします。
セカンドラウンド開始。
アドバイスどおり少し深い穴を掘って砂利をさらいます。
それをザルを敷いたバケツに入れて、大きな石を取り除きます。
その大きな石は捨てる前に綺麗な石を探します。すると緑がかった石、紫色の石、赤い石。様々な色の石が見つかります。よく見ると色んな石が見つかるんですね。だんだんそれだけでも楽しくなってきました。おっと、ちょっと大きい石英発見。
磨くと光りそうです。
綺麗な石を選別して岩の上に並べて乾かします。オー結構綺麗じゃん。こうやって自分たちで採ると立派な宝石。
さあ、後は本命のみ!お爺ちゃんと二人で大きな岩を動かします。既に70を超えたとはいえ、かつてはカヌーのオリンピック候補。未だそのパワーは健在。
動かした岩の底の砂利を選別、パンニング。
選別、パンニング・・・。
何度か輝く砂を見つけましたが、砂金という感じではありません。残念ながらタイムアップ。
やはりトレジャーハンティングはそんなに簡単ではありませんでした。
しかし、手元には美しい河原の石と金鉱石。十分な収穫です。子供たちも満足そう。
「また来ようね。」
リベンジを誓って美しい金山を後にしました。
「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」
目的は十分に達成した。
そう思っていました。
家に帰るとおばあちゃん(私の母)に子供たちが今日の収穫を披露します。
「ほら見て見て、石の隙間に宝石があるよ!」ルーペで石を眺めていたソルが叫びます。確かに、石の小さな隙間にもっと小さな石英の赤ちゃんが見えます。「よかったね」と声をかけたその時、
「あっ思い出した」
とおばあちゃんが言いました。そのまま部屋の奥ををゴソゴソ。戻ってくると手には小さなペンダント。そのペンダントヘッドには・・・
「砂金だ!」
30年ほど前に何処かの金山の砂金採り体験で見つけたそうです。2ミリ程の粒が10個ほど。いくら砂金採り体験とはいえ、短時間にこんなに取れることはないそうで、施設のおじさんもびっくりされたそうです。ずっと昔の事なのでどこに置いていたか忘れていたところ、孫の話を聞くうちに思い出したようです。
「ソルにあげるよ。」
大喜びのソル。
とうとう砂金を掘り当てました。
金脈は我が実家にありました。
山間の静かな郵便局員さん達の優しさと、お祖母ちゃんの愛に助けられ、我が家は少しだけお金持ちになりました。
立派なトレジャーハンティングな1日。
「その宝は求めるものに与えられる」
そう、その宝は確かに求めたものに与えられるのです。